Tターン採用は

「妻の積極的同意が条件」

株式会社ウッドピア

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旧木屋平村(現・美馬市木屋平)は、四国山地、剣山の北東に位置している。林野率95%、自然に恵まれているが、過疎化、高齢化の進む村だった。基幹的産業の林業も技術を持つ人が減り、残る人も高齢者ばかりになっていた。

技術者の育成を目指して

村は林業離れが「国土保全と生活環境保全に重大な影響を与えている」として、林業の担い手確保に乗り出すことになった。こうして平成6年、第3セクター方式の林業会社「ウッドピア」が設立される。

資本金1億880万円(現在は8880万円)。村が8500万円出資したほか、法人(森林組合、農協など6社)、個人255人が加わった。個人は山林所有者で1口(1株)5万円の出資だ。当時の村の世帯数は700程度だから、3分の1以上が参加したことになる。「出資というより、寄付をお願いしたようなもの」(梅津芳夫専務)だ。

梅津専務は「1億円あれば金利だけでも若い人の2、3人は雇える。少々赤字でも、という覚悟で始めた。ここで技術を身に付けて独立してもらえばいい。養成学校のつもりもあった」と話す。

U・Tターン確保に転換

しかしスタート時の社員は3人だけ、事業量は限られ、赤字が続いた。そこで、平成10年、会社設立の目的である「林業振興と村の活性化」のため、改めて人材確保対策に乗り出した。

徳島県内10事業体が合同で「徳島県林業U・Iターン就職説明会」を開催した。

説明会でウッドピアへの就職を希望する人には、本人と家族全員を対象とした体験会への参加を求める。作業現場での林業体験だけなく、暮らすために欠かせない医療施設や学校などを実際にみてもらう。納得した上でないと移住してからトラブルになったり、長続きしない場合もあるからだ。

懇談会で妻の意思を確認

採用条件がある。@結婚していれば家族で移り住んで来ることA妻が山に来ることに対して賛成であることB仕事だけでなく、地域に溶け込める人であることC山が好きであること││である。

Iターン者でもある谷内雅昭総務課長は「中には町に住んで、山で働きたいという人がいる。そういう人には、田舎に住んで、山の仕事をするんですよと言っている。田舎の付き合いが出来ないと難しい」という。

合同説明会は平成16年まで行われ、体験会には毎回5、6組がやってきた。1泊2日の日程で、夜は村の役職員、先輩社員と酒を酌み交わしながら話す。その会話の中で、「男性の方は好きで応募しているのだから、聞かなくても分かる。女性の方が山が好きという人を優先して採用した」(梅津専務、当時は村の収入役)。話していると必ず分るという。夫と一緒だから一応、賛成のような話はしていても、「本音は気乗りしない」ということは分る。そういう家族は移住してもうまくいかない。

会社そばに村営住宅建設

若者住宅
会社そばに建設された「若者住宅」。社員が住んでいる

当初から月給制、賞与、社会保険、有給休暇など役場職員並みの待遇を維持している。住宅も「若者住宅」7棟を建設、うち4棟にウッドピア社員が入居している。家賃は月額2万5000円だった。会社敷地内だから、まさに職住接近。便利だが「ずる休みはできない」(谷内課長)。

現在Iターンは5人。4人が家族連れ、1人が独身。平均年齢37・5歳。社員は10人、臨時雇用が4人。森林資源調査、施業計画、スクールバス管理などを行う総務課に4人、除伐、間伐、搬出、作業道などを担当する事業課6人、製材を行う製品課4人。総務課長、製品課長、事業班長はIターン者である。

事業内容には@森林の造林保育A山林・境界の測量管理B原木素材および生産搬出C一般区域貨物自動車運送業D農林水産物の加工販売E農林業の作業の受託と請負F人材の派遣Gスクールバスの管理運営││などを掲げている。

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